
皆さんは、「IRR」という言葉を聞いたことがありますか?IRRとは投資判断の目安となる指標の1つで、よく使われる指標ですが、投資初心者の方の中には聞きなじみのない方も多いと思います。
本記事では、このIRRという用語について解説していきます。
IRRとは?
IRRとは、「Internal Rate of Return」の略称で、日本語では内部収益率と呼ばれます。これは、投資によって将来得られるキャッシュ・フローの現在価値の合計が、初期投資額とちょうど等しくなるような割引率のことを指します。簡単に言うと、「投資したお金が、将来どれくらいの利回りで増えていくか」ということです。
具体例
具体的にどのような内容を説明するかについても触れていきます。
例えば、不動産クラウドファンディングで、100万円を投資したとします。
すると、
1年後に配当10万円、2年後に配当10万円、そして3年後に元本100万円と最後の配当10万円の合計130万円が受け取れます。
ここで考えるべきは、「3年前の100万円」と「今の100万円」の価値は同じでないという点です。

そこでIRRが登場します。
IRRは「この投資は、毎年何%で運用したのと同じ価値になるのか?」を示しています。先ほどの投資で、仮にIRRが10%と算出された場合、これは、「100万円を年10%で運用したのと同じくらいの収益性がある投資」という意味になります。つまり、IRRは、受け取るタイミングがバラバラな投資でも、「年利〇%」という共通の尺度に変換して比較することができる指標なのです。
利回りとの違いは?
IRRの意味はなんとなく理解できたと思いますが、不動産投資でよく使われる「実質利回り」や「想定利回り」などの「利回り」とどう違うのか疑問に思う方もいるかもしれません。大まかな違いを下の表にまとめてみました。
| 何を表すか | 費用を考慮するか | 時期を考慮するか | |
| 表面利回り | 物件の収益力 | × | × |
| 実質利回り | 物件の収益力 | 〇 | × |
| 想定利回り | 投資家の年間収益率 | △(案件による) | × |
| IRR | 投資家の実際収益率 | 〇(キャッシュ・フローに反映) | 〇 |
利回りとIRRの使い分け
例えば不動産クラウドファンディングの場合、事業者はまず、物件の実質利回りを確認し、仮に「物件利回りが10%」だったとします。
そこから「事業者の報酬」、「各種費用」を差し引き、投資家には「想定利回り8%」という条件で募集することがあります。さらに、配当が半年ごとに支払われるのか、満期にまとめて支払われるのかによってIRRが決まります。すなわち、表面利回りや実質利回りは「物件」を評価する指標であり、想定利回りやIRRは「投資家の収益」を評価する指標です。

IRRの注意点
IRRは便利で万能な指標のように見えますが、そんなことはありません。デメリットや注意点についてもお伝えします。
- 投資規模は考慮されない
IRRだけでの判断をした場合、利益が少ない投資商品を選んでしまう可能性があります。
例えば、
・A株式投資:100万円投資(IRR12%)→利益36万円
・B不動産投資:1000万円投資(IRR10%)→利益300万円
IRRだけで判断するとAのほうが魅力的なようですが、利益はBのほうが大きいです。 - 途中で受け取ったお金を再投資できる前提の指標
IRRは、途中で受け取った配当を同じIRRで再投資できるという前提で計算されています。例えば、IRRが15%の投資でも、実際には受け取った配当を15%で運用できるとは限りません。そのため、実際の運用成果がIRRどおりになるとは限りません。 - リスクは分からない
IRRは収益性だけを示します。例えば、
・ファンドA:IRR10%、元本割れリスクが低い
・ファンドB:IRR12%、開発案件でリスクが高い
この場合、IRRだけではどちらが自分に合っているのか判断できません。 - 運用期間が違うと単純比較しにくい
A:IRR10%、運用期間1年
B:IRR10%、運用期間5年
どちらもIRRは同じですが、5年間資金が拘束されるBの方が、その間の市場環境の変化や資金を使えない機会損失などの影響を受けやすくなります。
まとめ
IRRは、投資によって得られる配当や元本の受け取り時期まで考慮する点で、利回りとは異なる実質的な年間収益率を表す指標です。しかしながら、途中の配当も同じ利率で再投資する前提の指標かつ、投資規模やリスクなど加味されない項目もあるので、実際の投資では、想定利回りや運用期間、リスクなどもあわせて確認することが重要です。



