今、不動産クラウドファンディングへの参入が相次いでいます。
しかし事業としての立ち上げを検討していると、
「不動産クラウドファンディングへの参入に興味はあるけど、実際のところどうなの?」
「不動産への小口投資には事業者にとってどんなメリットがあるんだろう・・・?」
という疑問がわくことも事実です。
クラウドファンディング自体はまだまだ若い業界で、比較的レガシーな産業である不動産業界との親和の動きは始まったばかりです。
様々なITサービスが登場する中で、なぜ不動産クラウドファンディングは事業者の関心を集めているのでしょうか。
この記事では、クラウドファンディングシステムの開発・導入を行う中で聞こえてきた実際の声をもとに、その理由をまとめました。
不動産クラウドファンディングに事業者の参入が相次ぐ3つの理由
クラウドファンディングは不特定多数から小口融資を募る仕組みであるため正直に言うとあまり大きな収益をあげられるビジネスではありませんが、トレンドを踏まえて「とりあえずやってみたい」という事業者が多いのが実情です。
不動産クラウドファンディングの仕組みは簡単に言えば、不動産特定共同事業法の要件を満たし免許を得て、システムを構築しサイトを作り投資家を集め、自社で取得・付加価値を与えた物件に投資をしてもらい、賃料収入や売却益を分配するというものです。
一見簡単そうに見えるプロセスですが、事業構築の最初のフェーズである不動産特定共同事業法の免許を得る際に離脱してしまう事業者も多いです。
決して楽な道のりではありませんが、初めにクラウドファンディングに対して抱いた興味を忘れない上に、事業構築のための辛抱強さ・事業ローンチまでの長期戦を乗り切る覚悟が非常に大切です。
事業化は自力では到底実現できません。
免許取得のためにも、法律に準拠したシステムや弁護士のサポートは不可欠となってきます。
一方、不動産クラウドファンディングでは、2億円以上で組成されるファンドが半日程度で完売する例もあるなど、瞬発的かつ莫大な資金調達が可能です。
数千万円程度のファンドであれば、ものの数十分で完売するケースがほとんどです。
業界全体を通して投資家からの熱視線もあるので、PRにしっかりと取り組めば、事業が成功する確率は非常に高くなります。
不動産クラウドファンディングには、新規顧客となる投資家を集め、段階的に別のサービスへの流入を図っていくというマーケティングの意図もあります。
通常の不動産投資であれば、投資家はどちらかと言えば裕福で、物件に投資する際には多額の投資金を金融機関で借り入れて物件を購入するケースがほとんどです。
しかし、不動産クラウドファンディングの場合、一口1万円からという少額の投資を不特定多数の投資家から集めて物件を購入・運用していくというモデルであるため、通常の不動産投資に比べて障壁が圧倒的に低く取り組みやすいことが特徴です。
このため、事業者はそれまではリーチできなかった新たな顧客層にアプローチすることができるようになります。
新たな顧客層とは、例えば大きなリスクを背負ってまで不動産投資をしたくないという若年層の投資家です。
彼らは日常的にスマートフォンなどを通じてITサービスに慣れ親しんでいるため、低リスクかつオンラインで展開される不動産クラウドファンディングとの相性は抜群です。
不動産クラウドファンディングで投資への心理的ハードルを圧倒的に下げ、徐々に本格的な不動産投資へいざなうという新規顧客獲得・育成の手段として不動産クラウドファンディングが活用されることが多いです。
クラウドファンディングは、金融とテクノロジーの融合を指すFintechというジャンルに分類されます。
Fintechは近年、サービスをより展開しやすいよう法制度が段階的に整備されてきてはいますが、まだまだ若い業界です。
どのような業界でも、技術革新が進んでいる現代においては、ITと持ち前のノウハウを掛け合わせた新しいサービスを作り、時代の変化に柔軟に応えていかなければなりません。
そこで不動産事業者から注目されているのが、不動産投資をオンライン上で小口化したクラウドファンディングなのです。
ITと聞くといささか難解な印象を受け、セキュリティ面の心配も感じるかもしれませんが、サービスの仕組みをシステム開発業者や弁護士と共にしっかりと整えていくことで、投資家に利便性や安全性など大きなメリットを提供することが可能です。
不動産クラウドファンディング事業を運営するためには法律に基づき、電子取引業務に適した組織体制を構築する必要はありますが、たとえ現時点で自社にITのノウハウがなかったとしても、事業を立ち上げることそのものは社内のリソースを適切に用いれば可能です。
他社の事例にも目を通しながら、事業の見通しを立てていきましょう。
まとめ
この記事では、不動産クラウドファンディングに事業者の参入が相次いでいる理由について解説してきました。
事業創造は泥臭い工程が多く、投げ出したくなることもあるかもしれませんが、それを乗り越えた先に時代の流れに沿った新たな価値を生み出すチャンスが待ち受けています。
自社ですべてを終わらせようとするのではなく、連携する箇所は法律やシステム開発のプロフェッショナルと連携し、投資家にどのような価値を提供していくのかを考えていきましょう。