不動産クラウドファンディングの匿名組合契約と任意組合契約の違いを詳しく解説。匿名組合契約のサービスが多いのはなぜ?

不動産クラウドファンディングで出資を募る形式は2種類あります。

それぞれ性質が異なり、メリット・デメリットが存在します。

この記事では不動産クラウドファンディングでファンドを募集する際の2つの形式の概要・マーケットの分布について詳しく解説し、募集形式ごとの不動産クラウドファンディングサービスの事例を提示していきます。

不動産クラウドファンディングの2つの出資形態

不動産クラウドファンディングで出資を募る方法は2つあります。

・匿名組合契約
・任意組合契約

しかし、これら2つの出資形態は、不動産特定共同事業法において名称が具体的に定められているわけではありません。

不動産特定共同事業法第2条第3項第1号において双方の契約形態とも、民法において明文化されている「匿名組合」と「任意組合」とそれぞれ同義であると判断されているため、それぞれ匿名組合契約、任意組合契約が俗称とされています。

この法律において「不動産特定共同事業契約」とは、次に掲げる契約(予約を含む。)であって、契約(予約を含む。)の締結の態様、当事者の関係等を勘案して収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されていると認められる契約(予約を含む。)として政令で定めるものを除いたものをいう。
出典:「不動産特定共同事業法 第2条第3項第1号」

 

出典:国土交通省「不動産特定共同事業法の解説及び業務上の留意点」

両者の違いを簡単にまとめるとこうなります。

物件所有権の帰属投資額投資対象リターン物件の流動性運用期間投資家の主目的分配金の部類
匿名組合契約事業者一口1万円~事業者賃料収入短期資産運用雑所得
任意組合契約事業者+投資家一口10万円~現物不動産賃料収入・売却益長期節税不動産所得

匿名組合契約とは

匿名組合契約とは、組合員である各々の投資家と不動産クラウドファンディングの事業者間で結ばれる契約です。

事業者は、匿名組合契約を交わした無数の投資家から調達した資金で物件を購入し、その物件の運用で得られた賃料収入や売却益を投資家に分配します。

一方投資家は、物件を直接所有せず、物件ごとに募集されるプロジェクトに出資するという形をとります。

プロジェクトの運用期間は長くても1年程度と短期で、流動性が高いです。

このため、投資家は物件を直接所有しない上に1人当たりの投資額は小さく、リスクも小さいというのが特徴です。

また、匿名組合契約を通じて得た収益は「雑所得」に分類されます。

匿名組合契約のメリット

匿名組合契約を用いることで、投資家に低リスクかつ手軽な投資商品を提供することができます。

小口の一口1万円からの投資が可能となり、比較的リスクの少ない投資が可能です。

また、取得した不動産の運用は事業者が担うため、手軽さも投資家へのウリになります。
特に匿名組合の場合はお互いを知らなくても出資が可能であるため、安全な投資を保証できます。

不動産クラウドファンディングが手軽だと言われているのは、この匿名組合契約を通じたファンド組成をしたサービスを指しているケースがほとんどです。

出資募集額も、匿名組合契約を採用したサービスが圧倒的に多いです。

匿名組合契約のデメリット

匿名組合契約のデメリットは、不動産の流動性が低いという点です。

任意組合との大きな違いは、投資家の不動産の所有権の有無です。
匿名組合契約では、投資家に不動産の所有権は与えられません。

物件の運用は事業者が担当するため仕方のないことですが、投資家は原則、運用期間中の換金はできないこととなっています。

少額の投資が可能ですが、運用期間終了まで途中リタイアができない点が匿名組合契約のデメリットとなります。

任意組合契約とは

任意組合契約とは、匿名組合契約と同様に、投資家と不動産クラウドファンディングの事業者間で結ばれる契約の1つです。

匿名組合契約との違いは、任意組合契約を交わした投資家が、不動産クラウドファンディングの事業者と共同で物件を所有し、運用するという点です。

いわば、投資家は物件そのものに投資をするという形になります。

任意組合の場合、投資家の内数名が委任されて不動産取引に直接携わり、出資比率に応じた収益を組合員に分配します。

任意組合契約を通じて取得された不動産は長期保有が基本で、流動性は低いです。

投資家が得る収入は「不動産収入」に分類されます。

投資家は任意組合契約を通じて数十万円からの高額な出資が可能となります。

また、現物不動産に投資をするため、現金を不動産へ置換することが可能となっており、課税回避に有効です。

その分、資産運用にはあまり向いていないと言えます。

任意組合契約のメリット

任意組合契約では、投資家は事業者と不動産を共同所有する形式をとるため、対象物件が売却された場合、投資額に応じたキャピタルゲインを得ることができます。

任意組合契約では、投資家は現物不動産に対して直接投資します。
すなわち、退官としては匿名組合契約よりも本格的な不動産投資に近くなります。

また、一口数十万円以上の投資が可能となっているため、匿名組合よりも大きなリターンを見込めます。

その他には、現金を不動産へと転換することで節税が見込めます。

任意組合契約のデメリット

任意組合契約のデメリットは2つで、不動産の共同所有と無限責任にそれぞれ起因するリスクです。

任意組合ではインターネットを通じてそれまで関わったことのない投資家と協力して不動産を運用していかなければならず、そこに抵抗を感じる場合があります。

匿名組合は事業者が調達した資金で不動産の運用を担うという意味で一定の信頼性は担保されていますが、任意組合だと、自分で不動産の運用をしない場合、別の投資家に運用を任せなければなりません。

不動産投資と運用に長けた者が担うとはいえ、一抹の不安を抱える人もいます。

それに加え、任意組合契約の場合、投資対象の物件に対して無限責任を負うことが義務です。

無限責任とは、対象物件において損失が出た場合、その負債返済の義務を投資家も負わなければならないということです。

不動産クラウドファンディングは手軽さがウリというイメージですが、任意組合はより本格的な不動産投資に近いです。

匿名組合と異なり、一度負った義務は永遠に負わなければなりません。

不動産クラウドファンディングでは匿名組合契約が圧倒的に多い!

不動産クラウドファンディングのファンド組成は、匿名組合契約に基づいて組成されるケースがほとんどです。

事業者が物件の運用を担い、匿名組合の投資家に低リスクな案件を提供することで、安定的な事業展開が可能であることが理由と考えられます。

出典:国土交通省「不動産特定共同事業法の解説及び実務上の留意点」

任意組合の場合だと、無限責任のルールにより、組合員の一人が、代表的に売買など物件の取引に関与しなければなりません。

簡単に言えば、投資に対する当事者としての意識の濃淡が、匿名組合契約と任意組合契約の違いであると言えます。

現状では、匿名組合の方が資金調達のメジャーなモデルとして地位を確立しつつあります。

匿名組合契約を用いた代表的なサービス

匿名組合を用いた不動産クラウドファンディングサービスには以下のようなものがあります。

TREC FUNDING

トーセイ株式会社の展開する、匿名組合契約型の不動産クラウドファンディングサービスです。

国内で初めて、SPC(特別目的会社)を用いた倒産隔離を実現しました。

2020/8/29より1号ファンドの募集が開始され、すぐに完売しました。
今後も2ヶ月に1本のペースで順次ファンドが募集される予定です。

 

Jointoα

Jointoαは、西日本地域で不動産事業を展開する香川県の企業、穴吹興産による匿名組合契約を用いた不動産クラウドファンディングサービスです。

投資は一口10万円からと比較的高額ですが、2020/8/3にファンド募集されたファンドはわずか半日で完売しました。

 

X-Crowd

X-Crowdは、東証一部上場の不動産企業であるインテリックスが手掛ける匿名組合契約の不動産クラウドファンディングサービスです。

現在募集中のファンドはなく、運用中のファンドは2件です。

創業以来培ってきたリノベーションの技術を軸に、地方の案件に強みを持っています。

 

任意組合契約を用いた代表的なサービス

GoodComFund

GoodComFundは、東証一部上場の不動産企業グッドコムアセットが運営する任意組合契約の不動産クラウドファンディングサービスです。

一口10万円から都心の高級不動産に投資できることが特徴です。

出資比率に応じたリターンを得られ、節税も見込めるサービスとなっています。

まとめ

この記事では、不動産クラウドファンディングにおける2つのファンド募集形式(匿名組合・任意組合)について概要・特徴を述べた上でサービスの例を列挙しました。

どちらにも異なる性質やメリット・デメリットが存在します。

どちらの募集形式をとるかは、顧客にどのようなサービスを展開していきたいか、何が提供できるのかを考えればおのずと答えは見えてきます。

もしもどちらの形式をとるべきか悩んでいる場合は、不動産クラウドファンディングに精通したシステム開発業者や弁護士に相談しましょう。

投資型クラウドファンディングシステムCrowdShip Fundingであれば、専任のコンサルタントがクラウドファンディング事業の構築を着実に支援し、成功に導きます。

 

・Fintechサービスに不可欠であるセキュアなシステム設計で、安心してクラウドファンディング事業を運営可能です。

・事業立ち上げからライセンス取得、業務設計・システム導入支援、運用定着化まで一貫してサービス提供可能です。

・金融商品取引法、貸金業法、 不動産特定共同事業法など各法律に準拠。事業開始に必要な網羅的なシステム機能の標準搭載に加え、お客様の要望に沿った柔軟なカスタマイズが可能です。

・業務効率化(自動化)のサポートが充実しており、投資商品の設計・開発にリソースを集中させることができます。

 

まずはお気軽にお問い合わせください。

問い合わせる