犯罪収益移転防止法の話。クラウドファンディングの場合どのような対策が必要なの?

クラウドファンディングを含むFintechサービスでは、いかに利便性を落とさずに安全なサービスを顧客に提供していくかを考えることが大切です。

顧客の温度感を左右するのが、オンラインでの本人確認です。
このプロセスがあまりにも煩わしいと、離脱を招く要因にもなります。

オンラインでの本人確認を安全かつスムーズなものとするためには、犯罪収益防止移転法に準拠した仕組みを整えていく必要があります。

この記事では犯罪収益防止移転法について解説した上で、クラウドファンディング業務を運営する際の同法への具体的な対応について解説していきます。

犯罪収益移転防止法とは

犯罪収益移転防止法とは、事業者が得た収益が犯罪や資金洗浄などの不正行為に使われないようにするために、ユーザーの契約・取引時の本人確認について定めた法律です。

犯罪収益移転防止法は、金融機関等、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者、弁護士・弁護士法人、司法書士・司法書士法人、行政書士・行政書士法人、公認会計士・監査法人、税理士・税理士法人など、契約や取引にあたって本人確認を必要とする事業者が対象となります。(特定事業者)

犯収法に基づき、特定事業者には以下の義務が課せられています。

法第4条 取引時確認
・法第6条 確認記録の作成・保存(7年間)
・法第7条 取引記録の作成・保存(7年間)
・法第8条 疑わしい取引の届出 司法書士等の士業を除く
・法第11条 取引時確認等を的確に行うための措置
・法第9条 コルレス契約締結時の厳格な確認
・法第10条 外国為替取引に係る通知

取引時の確認はもちろん、その際の記録も作成し保存しておくことが求められています。

しかし、特定事業者の行うすべての業務が犯罪収益移転防止法の対象となるわけではなく、対象となるのはあくまでも特定業務のみです。

例えば、クラウドファンディング事業者であれば、組合契約に基づき出資を募り、事業の運用・分配を行うという業務のみが犯罪収益移転防止法の対象となり、他の業務は対象となりません。

クラウドファンディングでも改正犯罪収益移転防止法への対応が必要なワケ

本人確認には顔写真つきの身分証明書が必要となりますが、近年はオンラインで金銭の取引が可能なFintechサービスが多数生まれており、対面だけではなく非対面での本人確認のスムーズさへのニーズが顕在化してきました。

Fintechサービスの本人確認は、銀行をはじめとする金融機関並みの安全性や精度を具備しなければなりません。

クラウドファンディングもFintechに内包されているため、サービスを取り扱う金融商品取引業者・不動産特定共同事業者も、クラウドファンディング業務は犯罪収益移転防止法の対象になります。

クラウドファンディングを含むFintechサービスの普及を踏まえて、犯罪収益移転防止法の平成30年度11月30日の改正では、オンラインでの本人確認方法について明確に定められました。

従来の本人確認の方法だと、ユーザーは顔写真付きの身分証明書をオンラインで送信し、事業者は返信不要のハガキを郵送することで本人確認が完了する仕組みであったため、オンラインですべてを完結することはできませんでした。

しかし、この改正によって、ユーザーはサービスへの登録~利用をオンラインですべて完結することができるようになりました。

改正後の犯罪収益防止移転法における本人確認の手法は以下の4つの方法で可能です。

・容貌・写真付き本人確認書類の画像情報の送信を受ける方法(改正規則6条1項1号ホ)
・「容貌の画像情報」・「写真付き本人確認書類のICチップの記録情報」の送信を受ける方法(改正規則6条1項1号ヘ)
・写真付き本人確認書類の画像情報」又は「本人確認書類のICチップの記録情報」の送信を受けるとともに、当該顧客等について本人確認済みの銀行又はクレジットカード会社に同一顧客か確認を求める方法(改正規則6条1項1号ト(1))
・写真付き本人確認書類の画像情報」又は「本人確認書類のICチップの記録情報」の送信を受けるとともに、当該顧客等について本人確認済みの銀行に金銭の振込みを行うことにより確認する方法(改正規則6条1項1号ト(2))

代表的な物で挙げれば、運転免許証、運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカード、旅券(パスポート)などが身分証明書となります。

犯罪収益移転防止法に則り安全性を担保しつつも、いかに顧客のストレスを取り除けるかがFintechサービス普及のカギとなります。

煩雑なプロセスを排除し効率性を高め、ユーザーの登録プロセスからの離脱を防ぎましょう。

犯罪収益防止移転法への具体的な対応策

数あるクラウドファンディングサービスにおいて、今最も導入が相次いでいるのがeKYCシステムです。

TRUSTDOCK、グローシップパートナーズの投資型クラウドファンディングパッケージ「CrowdShip Funding」と、デジタル身分証アプリ連携によるeKYCでの本人確認機能の提供を基本合意

株式投資型クラウドファンディング FUNDINNO(ファンディーノ)を運営する日本クラウドキャピタルにてオンラインで本人確認を完結する「LIQUID eKYC」を導入

グローシップ・パートナーズがオンライン本人認証proost(プルースト)の導入に合意

eKYCとは、オンラインでの本人確認システムを指す言葉です。

eKYCはアプリなどを経由して、顔認証・身分証送信を通じて簡単に本人確認を済ますことのできる画期的なシステムで、クラウドファンディングだけではなく、オンラインで商取引を行うサービスでも多く普及しています。

代表的なサービスには、TRUSTDOCKやLIQUID eKYC、proostなどがあります。

 

eKYCシステムの導入により事業者はユーザーの利便性の向上と安全性の両立を図っています。

法律の観点からみるとeKYCは、平成30年度の犯罪収益移転防止法施行規則第6条1項1号ホの「本人確認書類の画像送信+本人の容貌の画像送信」に該当します。

 

出典:金融庁「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加」

ユーザーは基本情報・口座情報の入力などをサイト上で終えた後は、専用のアプリを介した容貌と1種類本人確認書類の写真撮影で本人確認まで済ませられるため、すぐにサービスを利用することができます。

eKYCの利便性・重要性

eKYCが従来の本人確認手法よりも優れているのは、スマートフォンなどのデバイスさえあれば瞬時に本人確認まで完了させられる点です。

犯罪収益防止移転法の改正前から既に「マイナンバーカードの公的個人認証による確認方法」は可能でしたが、マイナンバーによる本人確認はユーザーにICリーダーを必要とし、利便性が低く、普及率も10%程度しかありません。

eKYCに関して言えば、平成30年改正後の犯罪収益防止移転法を踏まえた上で設計・実装されているものがほとんどであるため安全性と利便性を兼ね備えたシステムであると言えます。

まとめ

この記事では犯罪収益防止移転法とクラウドファンディング業務を運営するうえで必要となる対策について解説してきました。

クラウドファンディングなどのFintechサービスにeKYCを導入することには確かに一定のコストがかかります。

しかしFintechサービスに求められているのは、金融サービスの安全性とITサービスの手軽さ・スムーズさです。

手間を惜しまず、犯罪収益防止移転法などの法律に準拠しつつ、時代の要請に応えられるようなサービスを設計・提供していきましょう。

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