金融商品取引法とクラウドファンディングの関係をわかりやすく解説。業務に必要な免許はどれ?

金融商品取引法は、投資型クラウドファンディング事業で要件を満たす必要のある法律の内の1つです。

業界全体の健全性を担保するためにも、法律に基づいた適正な業務運営は、クラウドファンディングでは必須となっています。

この記事では金融商品取引法の概要やクラウドファンディングにとって大きなターニングポイントである平成26年度の改正に触れながら、事業運営に必要な要件について解説していきます。

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金融商品取引法とは

金融商品取引法とは、株式や債券、手形などの有価証券の発行やデリバティブ取引などが行われる金融市場の健全化を目的に制定された法律です。

具体的には金融市場の適正な運営や有価証券情報の透明化、投資家保護の枠組みについて述べられています。

元は証券取引法という名称でしたが、平成18年に「証券取引法等の一部を改正する法律」及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が可決・成立し、金融商品取引法と改められたのち、公布されました。

近年ではブロックチェーンなどの未曾有の情報技術の進展に伴って金融商品が多様化し、被害を受ける投資家も増えてきました。

こうした現状を踏まえ、時代に適した金融市場の健全化や投資家保護を実現するために、金融商品取引法は幾度か改正されてきました。

金融商品取引法に基づき運営可能なクラウドファンディング

金融商品取引法の定める要件を満たすと運営できるクラウドファンディングは3つあります。

・融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)

融資型クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の投資家から集めたお金を資金需要者に融通し、償還金と利回りを合わせた金額を投資家に還元するクラウドファンディングです。

資金需要者は融資型クラウドファンディング事業者から借り入れた資金で事業を推進し、それによって得た収益が投資家へのリターンの原資になります。

クラウドファンディング全体の取扱金額の合計では、融資型クラウドファンディングが9割を占めています。

・ファンド型クラウドファンディング

ファンド型クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数からの投資家から集めたお金を調達し、何らかの事業を運営し、売上に応じた配当を投資家に還元するクラウドファンディングです。

融資型クラウドファンディングと混同されがちですが、両者のリターンの性質は異なります。

融資型クラウドファンディングのリターンは借り入れに対する「利子」であり、ファンド型クラウドファンディングのリターンは「配当」です。

投資家に対する分配金は、資金を調達した事業者がプロジェクトにおいて出資金を上回る利益を出せた場合に発生し、利益が大きければ大きいほど投資家に対するリターンは大きくなります。

・株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングは、非上場企業に投資できるクラウドファンディングです。

投資家はリターンとして投資先ベンチャー企業の未上場株を取得でき、投資先ベンチャー企業が上場などイグジットをした際に取得した未上場株の換金の機会を得られます。

クラウドファンディングを運営するために必要なこと

改正金融商品取引法の定めるファンドを用いたビジネスを行うためには、「第二種金融商品取引業」の要件を満たし、内閣総理大臣への申請・登録する必要があります。

第二種金融商品取引業とは、改正金融商品取引法第2条2項に定められているみなし有価証券を販売する方法です。

みなし有価証券には、信託受益権の売買、売買の媒介、募集の取扱い(媒介)や、ファンドの自己募集、募集の取扱い(媒介)などを行うものが含まれています。

金融商品取引法ではファンド募集・業務運営に際して第二種金融商品取引業が必要であることが定められています。

クラウドファンディングは、第二種金融商品取引業において、「電子募集取扱業務」と位置付けられています。

クラウドファンディングの業務運営には、この電子募集取扱業務に含まれる「電子申込型電子募集取扱業務」のうち、以下のいずれかの免許が必要となります。

・第一種少額電子募集取扱業務
・第二種少額電子募集取扱業務

これらのどの業務に該当するかは運営予定のクラウドファンディングのタイプによって異なります。

クラウドファンディングも近年になってようやく認知されてきた資金調達手段であるため、かつての金融商品取引法では具体的な整備が成されていませんでしたが、平成26年の法改正により当該業務に関する取り決めが初めて明文化されました。

 

引用:「金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号)に係る説明資料」

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)も業務プロセスにおいてファンドの自己募集及び取扱が行われるため、第二種金融商品取引業の免許を得たうえで電子募集取扱業務を実施するように定められています。

電子募集取扱業務とは、平成27年5月29日付けで施行された改正金融商品取引法において、新たに規定された業務です。

電子募集取扱業務とは、金商法第 29 条の2(登録の申請)第 1 項第 6 号にお いて規定される業務であり、金商業等府令第6条の2第1号(金商業者のホームページを通じた方法)又は第 2 号(金商業者のホームページを通じた方法に よる場合で電子メール等により情報を送信する方法(音声の送受信による通話 を伴う場合を除く))により、金商法第 2 条第 8 項第 9 号に掲げる行為(有価証 券の募集又は私募の取扱い等)を業として行うことをいいます。 電子募集取扱業務に該当するかどうかについては、個別の事例に応じて判断 されるものと考えられますが、例えば、金商業者のホームページ上において、 個別の有価証券について、その商品概要や手数料、予想リターン、申込期間などを掲載している場合には、電子募集取扱業務に該当するものと考えられます。

出典:電子募集取扱業務に関する Q&A

また、電子募集取扱業務を運営するにあたっては、金融商品取引法に基づいて業務管理体制を整備する必要があります。

金融商品取引法第35条の3:金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業又は登録金融機関業務を適確に遂行するため、内閣府令で定めるところにより、業務管理体制を整備しなければならない。

クラウドファンディングを運営するにあたっては、この業務管理体制の整備が最大の山場となっています。

また、「ファンドの募集」という面に関しては電子募集取扱業務で十分ですが、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の業務運営にはこれだけでは不十分で、投資家から集めた資金を他の法人に貸し付けるために、貸金業法に基づく貸金業の免許も必要となってきます。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の運営のためには、金融商品取引法と貸金業法のどちらの要件も満たす必要があるということを覚えておきましょう。

電子申込型電子募集取扱業務

クラウドファンディングの中でも、インターネット上で有価証券の売買が全て完結する業務を行う場合には「電子申込型電子募集取扱業務」の免許を得る必要があります。

電子申込型電子募集取扱業務とは、正会員が電子募集取扱業務(金商法第 29 条の2第1項第6号に規定する業務をいい、ホームページ等の方法をもってみなし有価証券の募集・私募の取扱いを行うこと。)を行い、これに対して顧客にホームページ等の方法をもって、当該みなし有価証券の購入の申込をさせる業務をいう。すなわち、正会員と顧客との間で、ホームページ等を介して、購入の勧誘と申込を行うものをいう。また、正会員は、第9条第1項で規定すると おり、顧客を訪問し又は顧客に電話をかけて取得の申込みの勧誘を行ってはならないこととされる。

出典:第二種金融商品取引業協会「電子申込型電子募集取扱業務等に関するガイドライン」

電子申込型電子募集取扱業務では、ホームページを通じた方法、あるいはホームページを通じた電子メールのやりとりなど、投資家の募集・勧誘行為をすべて、オンラインで完結しなければなりません。

クラウドファンディングの場合、例えば、eKYCを活用し、本人確認もハガキなどを使わずオンラインで完結するようにすれば、スムーズな会員獲得を実現できます。

電子募集取扱業務は、金融商品取引法の定める要件を満たす場合、「第一種少額電子募集取扱業務」、あるいは「第二種少額電子募集取扱業務」に分類されます。

一方、音声や対面による投資家とのコンタクトは、電子募集取扱業務には含まれません。

第一種少額電子募集取扱業務

第一種少額電子募集取扱業務は、インターネットで不特定多数から未公開株式の募集や私募の取扱を行う業務です。

株式投資型クラウドファンディングを運営する場合には第一種少額電子募集取扱業者の免許が必要となります。

改正金融商品取引法の中では、第一種少額電子募集取扱業務を遂行するために、最低1000万円の資本金が必要であることが定められました。

国内で現在運営されている株式投資型クラウドファンディングはすべて第一種少額電子募集取扱業務の免許に基づいて運営されています。

金融商品取引法では、第一種少額電子募集取扱業務における株式の発行者の調達額は年間1億円未満、投資家が投資できる額は年間50万円以下と定められています。

また、投資勧誘の手法もインターネットあるいは電子メールに限定されています。

非上場株式の募集又は私募の取扱いにより、インターネットを通じて、多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みのこと。発行者が資金調達できる額は1年間に1億円未満、投資家が投資できる額は同一の会社につき1年間に50万円以下の少額要件が設けられている。また、投資勧誘の方法も、インターネットのウェブサイトを閲覧させる方法又は電子メールを送信する方法に限定されている。

引用:日本証券業協会

第一種少額電子募集取扱業務の免許の元運営されている株式投資型クラウドファンディングのサービスには、ユニコーン、イークラウドなどがあります。

第二種少額電子募集取扱業務

融資型クラウドファンディング、あるいはファンド型クラウドファンディングを運営する場合には、第二種少額電子募集取扱業務の免許が必要です。

第二種少額電子募集取扱業務に基づいてクラウドファンディングを運営する場合、以下の要件が必要です。

・資本金あるいは出資の総額が500万円以上
・国内に営業所または事務所を有する
・登録又は許可取り消しから5年を経過していない
・金商法等法29条の4第1項第1号ハに規定する法律などに違反し、 罰金系に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者でないこと
・他の事業が公益に反すると認められていない
・金融商品取引業を的確に遂行できる者

クラウドファンディング事業普及のために参入条件が緩和されているとはいえ、特に組織体制はしっかり整備する必要があります。

まとめ

この記事では金融商品取引法で定められているクラウドファンディング事業の要件について詳しく解説してきました。

法制度が整ってきたとはいえ、事業者の不正の歴史も考慮するとクラウドファンディングはまだまだ整備が必要なサービスと言えます。

信頼のおけるサービスを運営するためにも法律の要件はしっかりと満たしましょう。

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