不動産特定共同事業法をわかりやすく!許可取得のためにクリアすべき要件とは

一口一万円からと少額での不動産投資を実現する不動産クラウドファンディング。

その根幹を成す不動産特定共同事業法は、小口化された不動産商品を扱う上でクリアしなければならない許可や要件を細かく定めています。

不動産特定共同事業法の定める要件を満たし、不動産特定共同事業の許可を得るためには不動産特定共同事業法の変遷を知り、適正な事業運営に向けた体制を自社で整えていく必要があります。

この記事では不動産特定共同事業の変遷を踏まえたうえで、不動産クラウドファンディング事業を運営するために取得すべき許可やその方法についてわかりやすく解説していきます。

不動産特定共同事業法とは

「不動産特定共同事業法」は、事業者が投資家から集めたお金でファンドを組み、不動産を運用し、得られた収益を投資家に分配する「不動産特定共同事業」における、業務の適正な運営と投資家保護に関する仕組みを定めた法律です。

不動産を証券化し、小口の商品に切り分け、複数人で共同運営するというアイディアは元来、不動産を金融商品から切り離し、所有物として扱うことを目的に生まれたものです。

通常、例えば自動車などの資産を所有する場合には、政府に登記という形で証明し、その登録したものに対して税金を払わなければなりません。

物件に関してもその例外ではなく、用途を含めて登記をする必要が出てきて、登記された物件が不動産と定義され、国土交通省の管轄下に入ることになりました。

これにより、不動産を小口化商品として扱うことができるようになったのです。

不動産特定共同事業法改正の変遷

不動産特定共同事業法は、倒産隔離や投資家保護、地方創生を目的とした不動産クラウドファンディングの推進などの視点から、時代にフィットしたものへと適宜改正されてきました。 それぞれの改正の概略を以下に示します。

平成25年度の改正

平成25年度の改正では、投資家保護の強化を目的に事業者の倒産隔離を促進するため、SPC(特別目的会社)を用いた特例事業について規定されました。

 

引用:国土交通省 「改正不動産特定共同事業法&耐震・環境不動産形成促進事業説明会 資料」

倒産隔離とは、不動産特定共同事業者が倒産した場合であっても、不動産事業のみをSPC(特定目的会社)を設立することで分離し、投資家は不動産に投資した分のリスクのみを背負うだけで済むようにする仕組みです。

1号事業者の所有する不動産への投資は、実質的に1号事業者そのものへの投資を意味しました。つまり、1号事業者が破産をすると、投資家は1号事業者が生み出した不動産関連のみならず、1号事業者の抱える全ての事業の莫大な損失を被るという事態が起こっており、投資家の背負うリスクを減らす枠組みが必要とされました。

しかし、特例事業スキームを用いることで、SPCを不動産特定共同事業法の許可なしに届出のみで設立することが可能となりました。

特例事業の場合、事業の主体である1号事業者は3号事業者へと置き換えられ、不動産の保有のみが許され、不動産の取引・売買を許可制の元に行うことができるように定められました。

・投資家に交付する契約締結前の書面について、インターネット上での手続に関する規定を整備

・クラウドファンディングを取り扱う事業者に対する適切な業務管理体制に関する規定を整備

・空き家や空き店舗の再生・活用事業に地域の不動産事業者が幅広く参入できるよう、出資総額が一定規模以下の「小規模不動産特定共同事業」の整備

・事業者の資本金要件を緩和し、5年の登録更新制を導入

・適格特例投資家限定事業の創設

 

平成29年度の改正

平成29年度の不動産特定共同事業法の改正で特筆すべきは、登録制での小規模不動産特定共同事業が認められたことに加えて電子取引業務、すなわちクラウドファンディングの業務管理体制が整備されたことです。

 

参考:「不動産特定共同事業の電子情報処理組織編成のためのチェックリスト!業務最適化・投資家保護のために必要なことは?

 

 

引用:国土交通省『クラウドファンディング等の小口資金を活用した 小規模不動産特定共同事業について』

平成29年度の法改正前は、1号事業者になるには1億円の資本金が必要で、3号事業者になるには5000万円の資本金が必要でした。

一方で、不動産の最適活用を通じた地方創生・東京一極集中の是正を推進するためには、小規模不動産特定共同事業等の不動産証券化手法を活用した先進的事業を地域においても促進していく必要があります。

この法改正により、小規模不動産特定共同事業に関して、更新期間5年の許可制が導入された上に、資本金のハードルの低くなったことで、高額な資本金を用意することが難しい中小業者にも門戸が開かれ、不動産を活用した地方創生事業のための基盤が整いました。

参考:「小規模不動産特定共同事業のポテンシャル!中小事業者だからこそできる事業とは?

また、不動特定共同事業契約の成立前の書面や成立時の書面をインターネット等により交付することが認められ、クラウドファンディングによる不動産への投資が可能となりました。

平成31年に発表された、不特法及び不動産クラウドファンディング促進のための施策

平成31年、国土交通省は、不動産特定共同事業法と不動産クラウドファンディングの一層の活用促進等を図ることを目的として、以下の施策を実施することを公表しました

施策[1] 「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」の策定【4月15日~】

不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングを実施しようとする者が備えるべき業務管理体制、取扱プロジェクトの審査体制及び情報開示項目を明確化します。

施策[2] 不動産特定共同事業法施行規則の改正【4月15日~】

不動産クラウドファンディングと対象不動産変更型契約(不動産の入替を行う不動産特定共同事業契約)を組み合わせることにより、個人等による長期・安定的な不動産クラウドファンディングへの参加を促進するための内閣府令・国土交通省令の改正を行います。


施策[3] 不動産特定共同事業への新設法人の参入要件の見直し【4月15日~】

「不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」を改正し、クラウドファンディングを行う新設法人について、不動産特定共同事業への参入要件を緩和します。


施策[4] 不動産流通税の特例措置の延長・拡充(平成31年度税制改正)【4月1日~】

特例事業者等に係る登録免許税・不動産取得税の特例措置について、2年間の延長を行うとともに、登録免許税については、工事竣工後10年超のプロジェクトや借地上の建物についても、特例の対象に追加されます。

施策[5] 特例事業者の宅地建物取引業保証協会への加入解禁【4月1日~】

一定の要件を満たす特例事業者について、宅地建物取引業保証協会への加入が可能となります。(詳細は各保証協会まで) 引用:国土交通省 報道発表資料『不動産クラウドファンディング 規制の明確化等により使いやすく~不動産クラウドファンディングに係るガイドラインの策定等~』
「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」

電子取引業務ガイドラインでは、以下の規定が明文化されています。

○電子情報処理組織の管理(規則第54条第1号関係)

①基本方針・取扱規定等の整備 電子情報処理組織の管理に係る基本方針を策定・公表、 規程を整備する。

②体制整備(組織/人的/物理・技術的)

【組織】管理責任者の設置、定期的な点検・監査の実施、個人情報保護法等で示される レベルと同様の管理体制整備等

【人的】電子情報処理組織取扱者との非開示契約締結、教育・訓練、管理 責任者等への 適切な知識・経験を有する者の任命

【物理・技術的】アクセス者の識別・認証、適切なアクセス制御、不正アクセスの検知・ 分析等によるセキュリティの確保、定期的な見直し

③システム障害時への対応 適切な人員配置、重要なシステムのバックアップ・復旧体制の 構築、再発防止、当局への報告等システム障害時に対応する内部管理体制を整備する。

④外部委託先管理 電子情報処理組織の管理を外部委託する場合には、自らが講ずべき措置と 同等の管理体制の先を選定する等、必要かつ適切な監督を実施する。

⑤顧客財産への被害防止等 出金先口座の指定・変更手続きにおいて、転送不要郵便等により 顧客口座と名義が異なる口座への振込を防止する措置を講じる。

○適切な審査(規則第54条第2号関係)
①人的構成等 営業部門から独立した審査部門の設置等、審査の独立性を確保する等

②審査項目等(主なもの) 【事業計画の内容】事業計画が合理的な根拠に基づいて作成されているか等 【資金使途】事業計画に照らし合理的か、不動産価値に照らし過大でないか等 【その他】利害関係の状況(利害関係の有無をホームページ等にて開示等
③審査結果の公表等 審査結果の概要等をホームページ等において閲覧できる状態に置く等

○クーリング・オフ
・契約成立時書面を受領した日から8日を経過するまでの間、契約解除できることを確認するための措置を講じる。 ・契約成立時書面を電磁的方法により提供する場合、当該データが顧客にダウンロードされた際の通知機能を利用する等して、クーリング・オフ期間の起算日となる日を特定する。

○重要事項の閲覧
・投資家の判断に重要な影響を与える事項は、電子取引業務及び事業の期間中、ホームページに記載する

○分別管理の徹底及び金銭の預託
・預託を受けた金銭と自己の固有財産を分別管理 ・金銭の預託に当たって契約等に定める事項 預託を受ける金銭の範囲/送金手続/支払手続/預託状況の通知方法 ・投資意思の確認 預託を受けている場合は、少なくとも3ヶ月に一度は投資意思を確認する。


出典:国土交通省『不動産特定共同事業法 電子取引業務ガイドライン』

平成29年度の法改正で初めてクラウドファンディングに関する言及が成されましたが、平成31年の施策でこのように初めて具体的な枠組みが決定されました。

このように、不動産特定共同事業法の整備が整いつつあり、不動産クラウドファンディング事業にとってはまさに追い風とも言える状況です。

実際、電子取引業務の許可を得てクラウドファンディングに参入した企業は増加傾向にあり、今後もその勢いは止まらないことが予想されます。

国土交通省『不動産特定共同事業者許可一覧』
https://www.idg.co.jp/colead/wp-content/uploads/2019/11/f7626b435dfdd17edb938a6c5b5a0a24.pdf

不動産特定共同事業に参入するために必要な免許

不動産特定共同事業を運営するには、免許が必要ですが、その免許を得るためには不動産特定共同事業法の定める条件を満たす必要があります。

資本金

不動産特定共同事業に必要な資本金の条件は以下の通りです。

第1号事業者第2号事業者第3号事業者第4号事業者
1億円1000万円5000万円1000万円

平成29年度の改正では、上記に加えて、小規模不動産特定共同事業に参入する場合の資本金が定められました。

小規模第1号事業者小規模第2号事業者
1000万円1000万円

改正前の要件の場合、地方の事業者にとっては参入のハードルが高すぎたため、小規模不動産特定共同事業に参入しやすいよう、資本金の要件が新たに設けられました。

資格

平成29年度の法改正で、不動産特定共同事業への参入に際して、前述の資本金の準備と、宅地建物取引業の免許に加えて、国土交通省の定める以下の業務管理者の資格要件を満たす必要があることが定められました。

 

・良好な財産的基礎、構成かつ的確に事業を遂行できる人員構成

・基準を満たす契約約款(一般投資家を対象とする場合のみ)

・事務所ごとの業務管理者配置

(不特事業3年以上、実務講習、登録証明事業(ARESマスター、
登録証明事業、ビル経営管理士、不動産コンサルティングマスター))

 

しかしこの要件は、肝心の地方の事業者がクリアするには雇用面やコスト面でまだまだハードルが高いため、主務大臣が主宰する講習を受けることで業務管理者の資格を得ることが可能となるよう、平成31年に施策が打たれました。

不動産クラウドファンディング事業新規参入に際して

これまで不動産特定共同事業法をわかりやすく述べてきましたが、不動産クラウドファンディング事業を立ち上げるにあたっての事業計画の策定や許可の取得、システムの構築などを事業者単体で行うことは非常に難しいです。

不動産クラウドファンディングを新規事業として始める場合は、事業構築のプロセスを頼れる弁護士やシステム開発業者などその道のプロフェッショナルに委ねるようにしましょう。

中には、許可の取得から事業ローンチ後のマーケティング支援まで一気通貫で行ってくれるシステム業者も存在します。

既に参入している企業もあるので、事例を踏まえると事業の構想も作りやすいです。


不動産クラウドファンディング事例① 株式会社インテリックス

不動産特定共同事業法の厳格な仕組みを理解し、準備を入念に行った上で不動産クラウドファンディングに参入しましょう。

投資型クラウドファンディングシステムCrowdShip Fundingであれば、専任のコンサルタントがクラウドファンディング事業の構築を着実に支援し、成功に導きます。

 

・Fintechサービスに不可欠であるセキュアなシステム設計で、安心してクラウドファンディング事業を運営可能です。

・事業立ち上げからライセンス取得、業務設計・システム導入支援、運用定着化まで一貫してサービス提供可能です。

・金融商品取引法、貸金業法、 不動産特定共同事業法など各法律に準拠。事業開始に必要な網羅的なシステム機能の標準搭載に加え、お客様の要望に沿った柔軟なカスタマイズが可能です。

・業務効率化(自動化)のサポートが充実しており、投資商品の設計・開発にリソースを集中させることができます。

 

まずはお気軽にお問い合わせください。

問い合わせる