シェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場に関する調査を実施(2020年)~2019年度のシェアリングエコノミーサービス市場は前年度比128.2%の1,132億円~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のシェアリングエコノミーサービス市場を調査し、分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにいたしました。

1.市場概要

2019年度の国内シェアリングエコノミーサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比128.2%の1,132億円であった。乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネのサービス分野別に見た場合、最も市場規模が大きいのは、乗り物のシェアリングエコノミーサービスである。また、乗り物のシェアリングエコノミーサービスのうち、カーシェアリングが当該分野の大半を占める。

2.注目トピック~2019年度のカネのシェアリングエコノミー市場動向と2020年度予測

カネのシェアリングエコノミー事業者の売上高ベースで見た市場規模は、2019年度から2024年度までの年平均成長率(CAGR)6.2%で推移し、2024年度には198億円規模になると予測する。なお、ここで言うカネのシェアリングエコノミーサービスとは、ソーシャルレンディングとクラウドファンディングのことを指す。

サービス別の内訳としては、2019年度はソーシャルレンディングがカネのシェアリングエコノミー市場の65%近くを占めると推定されるが、2020年度はクラウドファンディングの特需により約50%になる見込みである。
新型コロナウイルス感染症の拡大による4月の緊急事態宣言発出により、外出自粛が進み、飲食業やエンターテイメント業は休業を余儀なくされたことから、これらの業種に従事する人々がリアルではないオンラインのクラウドファンディング上でサービスを提供するようになり、また、支援目的でクラウドファンディングを利用するユーザーも増え、こうした背景から市場全体で特需が生じており、市場が大きく伸びる見込みである。

3.将来展望

シェアリングサービスはサービス登場時から、その利便性の高さについて注目を浴び続けている。新たなサービスも登場し、市場はますます盛り上がっているように見える。しかし、認知度の向上という課題だけでなく、所有から利用への転換という高いハードルが存在するのも事実である。これは、これまで人々が “購入” して “所有” をすることが当然であったことから、なかなか “利用” に焦点を置いたシェアリングサービスにまで意識が向かないためであると考えられる。

現在のコロナ禍において、人々の生活は消費行動を含め、大きく変化している。この変化を、これまでの生活環境と比べてネガティブに評価するのではなくチャンスと捉え、各社がシェアリングサービスのプロモーションに注力することが考えられる。シェアリングサービスによる新しい生活様式への対応、さらに生活環境のレベルアップを実現できれば、爆発的にシェアリングサービス市場が拡大するものと想定される。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2545

調査要綱
1.調査期間: 2020年8月~9月
2.調査対象: シェアリングエコノミーサービス提供事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、ならびに文献調査その他データ収集併用
4.発刊日:2020年9月30日

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