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不動産クラウドファンディングにおける償還遅延とは?一覧まとめ

不動産クラウドファンディングは手軽に始められる一方で、「償還遅延」という見落としがちなリスクも存在します。
本記事では、2025年7月現在で確認された償還遅延が発生してしまった案件を一覧にし、運営会社ごとの対応姿勢や傾向を投資家目線で分析しました。
人気サービスでも遅延は起こり得る時代。事前にどんな兆候に気づくべきか、そして信頼できるサービスとは何か──。
クラファン投資家が“後悔しないため”の情報を、できる限り客観的にまとめました。

償還遅延(運用期間延長・償還延期)とは?

言葉の定義

不動産クラウドファンディングでは、投資家が特定の不動産プロジェクトに出資し、一定期間の運用を経て元本と配当が償還されるのが一般的です。
しかしながら、物件の売却の遅れ開発工程の遅延といった理由から、予定どおりに償還が行われないケースも存在します。これがいわゆる償還遅延です。

償還遅延は元本毀損とは異なり、最終的に返済される可能性もありますが、資金が長期間拘束される点や、案件の信頼性に対する不安から、投資家にとっては大きなリスクのひとつとされています。

本記事の意義

現在、不動産クラウドファンディング業界ではサービスや案件が急増する一方で、償還遅延に関する情報が散在し、体系的に整理されていないのが実情です。
このまとめは、投資家自身がリスクを把握し、より健全な投資判断を行うための「判断材料」となることを目的としています。

また、どの運営会社がどういった対応を取っているのか、情報開示の姿勢や案件設計の傾向を比較することで、今後の業界全体の改善にもつながると考えています。

償還遅延案件一覧

本記事は、一部SNSや投資家ブログなどの公開情報をもとに、筆者が独自に調査・整理した内容を含みます。
正確性・最新性には努めておりますが、掲載内容のすべてを保証するものではありません。
各ファンドや運営会社の最新情報については、必ず各サービスの公式サイト・お知らせ・マイページ等をご確認の上、ご判断ください。

ヤマワケエステート

ファンド名進捗募集金額
25 八戸テーマパーク賃貸借運用期間延長697,000,000円
37 世田谷区岡本償還延期343,000,000円
38 阿嘉島海の家賃貸借償還延期317,000,000円
40 新松戸ビル運用期間延長573,000,000円
44 山梨県甲府市湯村ヒルズ運用期間延長→償還済み392,000,000円
46 札幌市すすきの底地運用期間延長530,000,000円
62 札幌市富の森隈研吾2nd償還延期555,000,000円
76 兵庫県神戸市東灘区レジデンスファンド運用期間延長146,000,000円
91 福岡県北九州市小倉宅地ファンド1st運用期間延長15,000,000円
95 韓国アクアステーション開発用地ファンド運用期間延長1,250,000,000円
106 札幌市富の森隈研吾3rd償還延期320,000,000円
110 埼玉県鴻巣市レジデンスファンド運用期間延長113,000,000円
113 福岡県北九州市小倉宅地ファンド2nd運用期間延長14,000,000円
119 札幌市富の森隈研吾4th償還延期685,000,000円
129 流山市宅地ファンド運用期間延長23,000,000円
140 東京と代官山周辺のテナントビルファンド運用期間延長713,000,000円
142 神奈川県小田原市宅地ファンド運用期間延長49,000,000円
  • 遅延発生頻度
    確認されているだけで15件以上の大量遅延(25・37・38・40・44・46…)が発生。
  • 遅延理由・傾向
    買主との交渉難航、エリアの流動性不足、開発遅延など。出口リスクが特に大きい。
  • 会社の対応姿勢
    お知らせやマイページ更新が限定的で、情報開示不足との批判が多数
  • 投資家の評判・印象
    「案件数を増やしすぎて管理が回っていない」「沈黙気味で不安」といった厳しい意見も。
  • 再発リスク・教訓
    エリアや流動性リスクの見極めが必須。透明性とガバナンス体制の改善が望まれる。

口コミ

LEVECHY(レベチー)

ファンド名進捗募集金額
07 東新宿エリアマンション6ヶ月運用期間延長622,440,000 円
13 北海道ニセコ開発用地6ヶ月運用期間延長3,505,470,000円
  • 遅延発生頻度
    7号(東新宿)や13号(ニセコ)において、2025年立て続けに遅延が発表された。
  • 遅延理由・傾向
    物件売却直前の買主キャンセルなど、出口(売却)戦略の想定ズレによる遅延が多い。
  • 会社の対応姿勢
    運営会社はオンライン説明会を開催し、その概要は投資家によるnote記事などで共有されている。投資家への開示意識は高め
  • 投資家の評判・印象
    「説明は丁寧だが、出口戦略の甘さが課題」との声。信頼性を保つ努力は見られる。
  • 再発リスク・教訓
    売却型案件では買主の信用力・売却戦略の実現性がカギ。案件設計の妥当性を見極めたい。

口コミ

 

TOMOTAQU(トモタク)

ファンド名進捗募集金額
11 トモタク11号ファンド6ヶ月運用期間延長→償還済み90,000,000円
17 築地7丁目プロジェクトⅡ6ヶ月運用期間延長→償還済み135,000,000円
65 RERESO 鎌倉I6ヶ月運用期間延長198,000,000円
70 RERESO 鎌倉Ⅱ6ヶ月運用期間延長166,500,000円
  • 遅延発生頻度
    CF11号・CF17号・CF65号・CF70号など、複数の案件で運用期間延長が発生。
  • 遅延理由・傾向
    主に「建築工事の進捗遅れ」や「不動産市況の変動による売却難航」が理由。11号・17号(築地プロジェクト)では近隣環境の影響で工事遅延が起きた事例あり。
  • 会社の対応姿勢
    公式サイトでの説明や「お知らせ」での告知はあるものの、詳細報告が簡素でタイミングも遅めという声あり。
  • 投資家の評判・印象
    SNSや掲示板では「利回りは魅力的だが、情報開示がやや消極的」との指摘も。
  • 再発リスク・教訓
    物件開発型の案件は特に工事進捗リスクに注意が必要。工期の見積もり精度や売却シナリオの妥当性が鍵

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COZUCHI(コズチ)

ファンド名進捗募集金額
42 代々木公園事業用地約1ヶ月運用期間延長(※)3,600,000,000円
48 代々木公園事業用地追加買取約1ヶ月運用期間延長(※)300,000,000円
97 中央区銀座 商業ビルⅡ7カ月運用期間延長4,150,000,000円
  • 遅延発生頻度
    一部案件(例:銀座ビル、代々木公園事業用地など)で運用期間延長あり
  • 遅延理由・傾向
    主に「売却タイミング・工事進捗のズレ」
  • 会社の対応姿勢
    公式発表や社長による説明あり。情報開示と説明責任がしっかりしている印象 。
  • 投資家の評判・印象
    SNSでは「遅延したが丁寧に説明してくれた」「抽選倍率が激しいが信頼できる」との声多数
  • 再発リスク・教訓
    高利回り・短期運用型中心のため工期管理と出口戦略の精度が今後の鍵

※約1ヶ月運用期間が延長するも、当初予定どおり償還・配当済み
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TASUKI FUNDS(タスキファンズ)

ファンド名進捗募集金額
6 タスキキャピタル重視型第6号ファンド運用期間延長→償還済み40,000,000円
  • 遅延発生頻度
    第6号で償還遅延。
  • 遅延理由・傾向
    一般にミドルリスク案件を提供し、リスク許容が中程度。
  • 会社の対応姿勢
    東証上場企業グループが運営し、丁寧なサポートを重視しているが、お知らせ一覧には出していない不透明さが露呈。
  • 投資家の評判・印象
    1口最低10万円の公募制案件で、当選倍率は高いが抽選落ちに対する不満も見られる傾向あり (償還遅延にに関する口コミは確認できず)
  • 再発リスク・教訓
    案件数増加に伴う運営体制の見直しが今後の焦点になりそう

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ハロー!RENOVATION(ハロー!リノベーション)

ファンド名進捗募集金額
ヴィレッジファンド3号愛知県岡崎4カ月運用期間延長107,700,000円
  • 遅延発生頻度
    単発の遅延と見られる
  • 遅延理由・傾向
    「物件売却交渉の長期化」および「引き渡しの調整に時間を要したため」(地方物件であり、売却先の確保に時間を要する)
  • 会社の対応姿勢
    事前に延長連絡あり。しかしお知らせ一覧のみで、出資者へのメールでの連絡はなし
  • 投資家の評判・印象
    一定の透明性や誠実さはあるが、その質や速度面に課題感も。
  • 再発リスク・教訓
    地域再生型の特性理解と流動性リスクの認識が必要

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利回り不動産

ファンド名進捗募集金額
41 中村橋マンション再生PJフェーズ2約8カ月運用期間延長→償還済み108,000,000円
44 中村橋マンション再生PJフェーズ3約8カ月運用期間延長→償還済み81,000,000円
  • 遅延発生頻度
    41号・44号で一時的に運用期間の延長。ただし延長期間分を含めた配当の支払い・元本償還は無事完了
  • 遅延理由・傾向
    所有者との協議が諸事情により想定より長期化したため。
  • 会社の対応姿勢
    全体向けお知らせにて明確かつ定期的な進捗報告があり、透明性は比較的高い
  • 投資家の評判・印象
    「対応が誠実」「説明責任を果たしている」とポジティブな評価も。
  • 再発リスク・教訓
    運用期間延長は発生したが、対応力と誠実性の高さで信頼を維持。開示姿勢を重視したい投資家には好印象

口コミ

 

注意すべきポイント

償還遅延リスクの見極め方

償還遅延は、どの事業者でも起こり得るリスクですが、その背景には共通する構造的要因があります。特に以下のような傾向を持つファンドは、遅延の可能性が高くなる傾向があります。

  • 売却戦略が弱い or 未確定
    出口(売却先)が具体的でない、または市況に強く依存している。

  • 地方案件・需要が読みにくいエリア
    購入希望者が限定されており、売却までに時間を要する可能性。

  • 開発型・建設型案件
    工期・許認可・施工業者との関係など、進行リスクが多段階に存在。

  • 新興事業者・初号ファンド
    トラックレコードがなく、運用体制の整備が不十分な可能性がある。

  • 異常な高利回りファンド
    過度な利回りは、市況に依存したハイリスクな戦略の可能性あり。

案件選定時にチェックすべき具体項目

実際に投資を検討する際は、ファンドページの情報を以下のような視点で確認しましょう。「開示情報の“質と透明度”」を見極めることが、最も実践的なリスク回避策になります。

チェック項目内容
出口戦略の明記「売却予定先あり」「借換予定先あり」など、出口戦略が具体的か
募集金額の妥当性同エリアの相場価格と乖離がないか、収支計画が明記されているか
立地・流動性物件所在地と需要の見込み(商業エリア or 過疎地)
担保・保証の有無抵当権・劣後出資・買取保証など、損失リスクの調整策があるか
過去の運用実績同社の償還履歴・延長件数・元本毀損の有無
進捗報告のスタイルレポートやメールで定期的な報告があるか、言葉だけでなくデータが示されているか

さらに、SNSや掲示板、投資家ブログなどのリアルな体験談も非常に有益です。公式情報だけでは見えない「運営会社の本音」や「投資家対応の質」が垣間見えることもあります。

まとめ

現時点での教訓

不動産クラウドファンディングは少額から手軽に始められる魅力的な投資手段ですが、「元本保証ではない」こと、そして「予定どおりの償還が保証されない」ことを前提とする必要があります
特に2024年以降は、運用会社の拡大路線に伴い、償還遅延が表面化するケースが増加しています。

筆者自身、今回のまとめを通じて、「情報開示の質」「出口戦略の実現性」「案件設計の妥当性」など、複数の視点から案件を見極める重要性を改めて感じました。

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今後どう向き合うか

今後は、以下のような姿勢でクラファン投資に向き合うことが重要です。

  • 複数案件・複数サービスに分散投資し、リスクを限定的にする
  • 運営会社の開示姿勢・対応力を重視し、信頼性で選ぶ
  • 過去の遅延傾向を踏まえたうえで、案件タイプ(売却型/インカム型)を見極める
  • 業界全体の動き(ガイドライン改正、国交省・金融庁の対応など)にも目を向ける

投資は「自己責任」が原則ですが、情報を正しく持つことが最大の防衛手段です。
このまとめが、少しでも投資家の判断材料となれば幸いです。

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