2018年のローンチ以降、不動産クラウドファンディングのサービスは40件以上登場し、約600件のファンドが公開されています。
多くのサービスが登場する中で、見えてきたことがあります。
今回は、CrowdFunding Channelが独自に集計したデータをもとに、不動産クラウドファンディングにはどのような傾向があるのかを分析し解説していきます。
サービスローンチ件数の推移
2018年は4件、2019年は5件、2020年は15件、2021年は18件と新規ローンチ件数は右肩上がりで伸びています。
不動産クラウドファンディングのパイオニアである数社の成功事例を踏まえ、不動産特定共同事業法の許認可を受け電子取引業務を開始する事業者が年々増加しています。
許認可取得には長時間かかる場合もある中、不動産クラウドファンディングには40社以上も参画しており、今後もハイペースで新規サービスがローンチしていくことが予想されます。
ファンド組成対象物件の種類
2022年1月現在、600件近くのファンドが公開されていますが、組成対象物件は、レジデンスが8割以上を占め、その他にはオフィスビルを対象にインカムゲインを分配するものや古民家のリノベーション、事業用地、社会福祉施設、ホテルなどの開発案件などがあります。
基本的に対象物件の入居者から得られるインカムゲインが分配の原資となりますが、キャピタルゲインを原資としたものやリノベーション、開発案件なども徐々に増えてきており、その種類はバラエティに富んでいます。
これまで金融機関からの融資が下りず資金が十分に回らなかった地方の物件にも、不動産クラウドファンディングを通じて資金が供給されつつあります。
地方の物件はリスクが高いですがその分利回りが高く、投資家からも人気を集めています。
合計募集金額と平均利回りの推移
合計募集金額も2018年が4億円、2019年が36億円、2020年は78億円、2021年が205億円と年々右肩上がりで増加しています。
サービスが増加したことに加え、月ベースでコンスタントにファンドを公開している事業者が多いことが要因と考えられます。
億単位でのファンドも複数登場しており、全て満額での募集を達成しています。
平均利回りに関しては、2018年に7%以上を記録してから年々減少傾向にありましたが、2021年に再度6%近くまで盛り返しました。
2021年は20%を越える利回りを記録したファンドもあり、安全性が重視される不動産クラウドファンディングにおいてもある程度の儲けを期待できるようになりました。
2021年月別募集件数の推移
2021年の月当たりの募集件数は15~40件程度となりました。
毎月2ケタの数のファンドが募集されており、投資の機会が豊富になりました。
先着式・抽選式を問わずほとんどのファンドで募集開始から投資家の応募が殺到し即完売しており、その人気ぶりを証明しています。
対象物件所在地の割合
ファンド組成対象物件の所在地は東京都が353件とぶっちぎりで多いです。
東京都はやはり入居率の高さが特徴であるため、確かな収益性を見出しファンドを組成する事業者が多いです。
また、東海地方の事業者は東海地方の、関西地方の事業者は関西地方の物件を地域性を踏まえた独自の目利きで選定しています。
海外物件を対象としているサービスもあり、投資家に幅広い投資機会を提供しています。
まだ少ないですが地方の物件にもネット上で集められた資金が供給されつつあります。
まとめ
この記事では不動産クラウドファンディングのこれまでをデータを基に分析してきました。
新規サービスや新規募集ファンドの数も募集金額も例年右肩上がりで、今後も不動産クラウドファンディング市場は安定的に成長していくことが予想されます。
高利回りのファンドも増えてきながら今のところ貸し倒れを起こしたサービスはありませんが、あくまでも安全性を考慮した投資機会を提供していきましょう。